フリーランスの生計の立て方として、実店舗を持たない ECサイト、いわゆるネットショップの運営という選択肢があります。日本だとモール型ECサイトである楽天市場や Yahoo!ショッピング に店舗を構えたり、Shopify(ショピファイ)などで構築したネットショップが思い当たります。
フリーランスとしては自身でECサイトを立ち上げるか、運営のコンサルタント契約をするという2パターンが考えられます。
前者は売上から費用を引いた金額が収入となりハイリスクハイリターン、後者は契約した金額が収入となりローリスクローリターンと言えるでしょう。なお、私自身は後者(ECサイト運営コンサルタントとフロントエンド業務代行)の経験があります。
これらの事例及び経験を踏まえ、フリーランスのECサイト運営について解説します。
ECサイト運営者の仕事内容

フロントエンド業務
ECサイトの運営は大きくフロントエンド業務とバックエンド業務があります。
フロントエンド業務の目的は集客です。
商品を販売するためのECサイトを構築し、インターネットを通じてお客様に来てもらう必要があります。実店舗と大きく違う部分ですね。
そのためにはまずECサイト構築のためのITスキルが必要となりますし、商品ページ作成のために商品企画や撮影の技術も必要になります。
また、ECサイトはアクセス数が売上に大きく影響するため、売上を分析しての広告やSEOなどWebマーケティングも業務の一つとなります。
運営のコンサルティングを行う場合はフロントエンド業務を扱うケースが多いでしょう。
バックエンド業務
バックエンド業務は商品の発送など、購入していただいたお客様とのやり取りや在庫管理が主な業務で、ECサイトに限らず実店舗でも必要な業務です。
自身でECサイトを運営する場合はバックエンド業務も含めて対応する必要があり、在庫管理のための倉庫や配送の動線なども検討する必要があります。
商品の入荷や配送を考えると高層階マンションの一室では難しいでしょう。
ECサイト運営者に必要なスキル・経験

SEOなど各種Webマーケティングスキル
ECサイト運営者に必要なスキルとして、まず Web マーケティングスキルを挙げます。
例えば楽天市場では 売上 = アクセス人数 x 転換率 x 客単価 という公式があります。
3つの要素に分解して、それぞれを上げることで売上が上がるという公式です。
3つの要素が掛け算になってますので、いずれかがゼロの場合は売上もゼロです。
つまり EC サイトへのアクセスがないことには売上もゼロのままです。アクセス数を上げるために SEO などの Web マーケティングスキルが必要となります。
撮影、画像編集、動画編集スキル
前述の公式で「転換率」に大きく影響するのが画像や動画です。
転換率(コンバージョン率とも言います)とは、商品ページにアクセスしてくれたお客様がどの程度の割合で実際に購入してくれたか、という指標です。ECサイトでは実物を見たり手にとったりすることができないため、商品の画像や動画が購入の決め手になることが多くなります。
みなさんも美味しそうな食べ物の写真だからカートに入れた、モデルさんがカッコよく着こなしていたからカートに入れた、という経験がありませんか?
カメラ選び、カメラのセッティング、ライティング(光)、編集などの技術を駆使して転換率の高い画像・動画作りのスキルを勉強しておきましょう。
販売業務の経験
ECサイトと言えど人と人とのコミュニケーションです。
お客様がどのような考えでどう行動なさるか、販売業務の経験を通して把握しておいた方が良いでしょう。
経験不足によりお客様への対応を誤ってしまった場合、クレームに発展したりショップへの低評価レビューを受けてしまうことが考えられます。クレーム処理には時間を取られる、精神的に辛いなどで生産性が下がりますし、低評価レビューは転換率の低下に繋がります。経験が難しい場合は書籍等での学習をお勧めいたします。
発送業務の経験
インターネットにより個人の売買がしやすくなり、個人間での発送の経験がおありの方も多いかと思います。梱包作業はなかなか大変ですよね。個人の売買でもECサイトでも、レビューを読むと「梱包が丁寧」「梱包状態が悪い」などの評価が多いことに気づくと思います。
商品はどこで買っても同じですが、発送はショップごとに差が出ます。
丁寧な梱包は当たり前として、発送費用を抑えるために箱のサイズをなるだけ小さくする、サイズや配送先の地域によって安い配送会社を選択する、など経験してみて分かることも多いものです。
発送は特別なスキルは必要ないと考えていた筆者は意外に重要なスキルだと感じました。
ECサイト運営者に向いている人は?

試行錯誤を続けられる人
レッドオーシャンとなった EC サイト業界において、よほど人気のあるオリジナル商品でもない限り出店すれば売れるという状況はありません。オリジナル商品の開発は個人では難しいため、個人運営のECサイトはメーカーや問屋から仕入れた商品に利益を乗せてを販売するというビジネスモデルになるかと思います。
つまりはオリジナルではない商品を、どのようにしたら他店でなく自店で購入して頂けるか、お客様に喜んで頂けるかを考えて試行錯誤できる人が ECサイト運営者に向いてると考えます。
ECサイト運営者を目指す人が取り組んでおくべきこと

EC全体の動向を確認する
EC(Electronic Commerce) はプラットフォーム自体の進化が早い世界です。
例えばライブコマース。スマートフォンアプリ内のライブ動画で商品説明や質疑応答が行われ、気に入ったらその場で「ポチる」ことができます。要はテレビ通販のインターネット版ですが、中国ではファッション・美容関連のカテゴリーで受け入れられており人気ライバーは1日で数億円の売り上げを叩き出すそうです。
EC 大手の Amazon や楽天市場アプリが導入すれば日本でも広まるかもしれませんね。
また、近い将来はドローンを使った配達が一般的になるかもしれないなど物流業界も一変するかもしれません。物流を含めたEC全体の動向はリサーチするようにしましょう。
コンテンツマーケティングを学ぶ
前述したように同じ商品を「他店でなく自店で」買っていただくためにはコンテンツマーケティングが手助けになります。
コンテンツマーケティングはターゲットとなるお客様に価値のあるコンテンツを提供することで自店のファンを増やし、結果的に売り上げを伸ばそうとする手法です。
ECサイトを構築して商品ページを並べるだけでは安売り競争になり疲弊してしまいます。
お金を回すという意味で安売り商品も必要ですが、利益が取れる仕組みも構築できるようにしましょう。
おわりに
ECサイト運営者の仕事内容や必要なスキル、ECを取り巻く状況について解説しました。業務内容や必要とされるスキルが多岐に渡ることがお分かりいただけたでしょうか。
ご自身がネットショップを開設して運営するのか、ECサイト運営代行を目指すのかは区別して考えてみられるとよいでしょう。
いずれの場合にもECサイト運営に必要となる、フロントエンド業務はオンラインスクールもあります。よかったら検討してみてください。
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