新しい環境で挑戦をしてみたいから、仕事にも慣れてきたから、など、様々な理由で引っ越しを考えているフリーランスの方も多いと思います。しかし、会社員とは違う個人事業主という立場で初めての転居となれば、
「自宅を引っ越すときには何をしたらいいの?」
という疑問も浮かんでくるはずです。実際、フリーランスにはプライベートな手続き以外にもやらなければならないことがあります。今回は引っ越しを控えたフリーランスのために、必要な手続きについて解説をさせていただきます。
フリーランスの引っ越しには手続きが多い!

フリーランスとして引っ越しをする際には、やらなければならない手続きがたくさんあります。まずは、どんな人の引っ越しでも必要になる転出届と転入届の提出をしなければなりません。因みに、同市区町村への引っ越しの場合は転居届のみになります。同時に旧住所の市役所・区役所では国民健康保険の資格喪失手続きを、新住所の市役所・区役所では国民健康保険の加入手続きをします。国民年金についても住所変更が必要です。勿論、物件の解約やガスや電気等の契約も行わなければなりません。
これらに加えてフリーランスの場合は、税務署への届出が必要になります。書類は引っ越し前の税務署が提出先になっているものが多いので気をつけてください。
また、確定申告の時期にも注意をしておきましょう。届出をするとその後の確定申告は引っ越し先の税務署に提出することになるためです。2月、3月に引っ越しをする場合、引っ越し前に確定申告をするのか引っ越し後に確定申告をするのかで担当の税務署が変わってきます。
書類は郵送での提出も出来ますが、当然窓口に行って提出することも出来ます。不明点等があれば窓口で一緒に質問することも出来ますので、不安な方は引っ越し前の役所巡りとともに予定を組んでおくのがおすすめです。確定申告など今後のフリーランス生活にも重要になることですので、絶対に忘れないように手続きをしましょう。
フリーランスの引っ越しに特有の手続き

フリーランスの引っ越しに特有の税務署への届出について、ここでは具体的にみていきましょう。作成する書類は最大でも4枚です。上から2つの2種類で済む方が比較的多いと思われます。全て特に難しいものではありませんので、肩の力を抜いて準備を進めていきましょう。
納税地の変更に関する届出
まずは「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」を作成します。引っ越しによって住所が変わると納税地も変わるため、必要になる書類です。提出先は引っ越し前の税務署となっています。引っ越し後に提出することも可能ですが、遅延なく手続きすることを求められていますので出来るだけ早めに作成するように意識しましょう。提出には書類とともにマイナンバーカードと身分証明書が必要です。
記入方法は以下の通りです。
- ・所得税と消費税の当てはまらない方を二重線で消す
- ・引っ越し前の住所を管轄する税務署を記す
- ・提出時の日付を記す
- ・納税地を記す(納税地以外の住所がある場合はそれも記す)
- ・氏名と生年月日を記す
- ・マイナンバーを記す
- ・屋号を記す
- ・引っ越し前と引っ越し後の納税地の住所を記す
- ・住所変更の理由を記す
- ・事業所の屋号、住所、事業の内容を記す
個人事業に関する届出
次に「個人事業の開業・廃業等届出書」を作成します。個人事業主として開業をした際に提出したものですが、住所変更の際にも必要になることが多いです。こちらも引っ越し前の税務署に提出をします。
記入方法は以下の通りです。
- ・引っ越し前の住所を管轄する税務署を記す
- ・提出時の日付を記す
- ・納税地を記す(納税地以外の住所がある場合はそれも記す)
- ・氏名と生年月日を記す
- ・マイナンバーを記す
- ・職業、屋号を記す
- ・届出の区分の“移転”“新設”“増設”いずれかにチェックを入れる
- ・所得の種類にチェックを入れる
- ・引っ越しした日付を記す
- ・移転のみであれば“開業・廃業に伴う届出書の提出の有無”は無にチェックを入れる
- ・事業の内容を記す
- ・従業員がいる場合は“給与等の支払いの状況”を記す
- ・“源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書の有無”“給与支払いを開始する年月日”にはいずれも現在の状況を記す
給与支払いに関する届出
自分以外に従業員を雇い、給与を支払っているフリーランスの場合「給与支払い事務所等の開設・移転・廃止届出書」も作成します。ただし、上記の「個人事業の開業・廃業等届出書」の中で“給与支払いを開始する年月日”を記して提出を行っている場合には、こちらを提出する必要はありません。
口座振替に関する届出
各種税金を振替納税している場合には、「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を作成します。納税地の変更によって手続きを行う必要があるためです。
マイナンバーカードの手続きも忘れずに!

フリーランスでマイナンバーカードを所有している人は、この手続きも忘れずに行わなければなりません。怠ってしまうと様々な手続きにおいてマイナンバーカードを使うことが出来なくなってしまいます。また、状況によっては失効になってしまうこともありますので気をつけましょう。
引っ越しの際にはマイナンバーカードの継続利用手続きが必要になります。実際の引っ越し日から14日以内に行わなければ失効、再発行となってしまいますので注意してください。再発行には手数料がかかりますし、市役所や区役所まで取りに行く手間が発生してしまいます。
因みに同じ市区町村内で引っ越しをした場合、マイナンバーカードにおける手続きは住所変更になります。本人確認書類を持参して、新しい住所を記載してもらえばそれで終了です。
マイナンバーは源泉徴収税を納めるためクライアントに提出を求められることもあります。プライベートだけでなく仕事でも面倒なことにならないよう、転入届や転居届提出の際に同時に行っておくといいでしょう。
仕事で利用のサービスの手続きも忘れずに!

フリーランスの引っ越しに関する手続きも、ここまでくるとひと息ついてしまいそうになりますが、もう1つだけ変更を忘れてはならないものがあります。それが、仕事で利用しているサービスに関する手続きです。市役所や区役所、税務署などを回ってくたくたかもしれませんが、これを忘れてしまうと収入に影響してしまうかもしれません!
銀行口座や利用しているクラウドソーシングで登録している住所は、全て新しいものに、そして全て同じ住所に統一する必要があります。例えばランサーズであれば登録住所と口座住所が異なっていた場合、報酬が振り込まれません。どちらか一方だけを変えて一方を後回しにしてしまうと、入ってくるはずの収入が滞ってしまうこともあるのです。新生活には何かとお金がかかる中、こんな事態になっては大変ですよね。
生活に関わる手続きが終わったら、最後に必ず仕事に関するサービスも全てチェックをしていきましょう。安心して新たなフリーランス生活を始められるようになってくださいね!
おわりに
フリーランスの引っ越しには様々な手続きが必要であることがおわかりいただけたかと思います。中には、
「意外とやることが多いなぁ…」
と感じた方もいるのではないでしょうか。しかし、これらは全て重要な手続きです。自分が対象となる手続きはどれか事前に確認し、充実したフリーランス生活を続けていくためにも是非忘れずに手続きをしておきましょう。
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