IT 業界でエンジニアとしての経験を積むと、スキルを身につけたとしてもエンジニアとしての限界を感じ、管理系の仕事へのキャリアアップを考えることはないでしょうか。かつて筆者はそうでした。筆者はプログラマとしてキャリアスタートし、スキルを身につけて早く帰れるようになったと思いきや、別メンバーのサポートで仕事が増えたということを経験しています。
また、逆にサポートしてもらって申し訳ない気持ちになったという経験もあります。つまるところ、管理者が適切な指示を与えられなければこの課題は解消されないと感じました。
そこで今回はキャリアアップ先として考えられる Web ディレクター の仕事内容や必要なスキルについて解説します。
Webディレクターの仕事内容

「ディレクター」とは
ディレクターは英語で “director” で、指示する人のことです。なお、指示は “direction” です。ディレクターというと映画やテレビの仕事でメガホンを持って指示する姿を思い浮かべる人が多いかもしれませんね。
Webディレクターは Web コンテンツに特化したディレクター とイメージしていただければよいかと思います。
Webディレクターの仕事内容
Web ディレクターは必要とされた Web サイト、アプリ、映像や広告など、Web 上で配信するコンテンツについて現場で指示を行い、QCD (品質、コスト、納期) を管理しながら完成させるのが仕事です。
コーディング(プログラミング)を行うケースはほぼありません。
一定の規模を超えた Web コンテンツはチームで作業を分担するため、Web ディレクターは計画を立て、メンバーのスキル等を見ながら指示を出し、進捗をチェックするなどします。
Webプロデューサーとの違い
Web ディレクターとよく混同されるものに Web プロデューサーがあります。
これも映像業界のプロデューサーとよく似ています。Web プロデューサーは Web コンテンツの企画立案を行い、企画した Web コンテンツの制作を Web ディレクターへ指示する側となります。
制作指示を受けた Web ディレクター は制作に必要な作業を洗い出して、チームメンバーに対して指示を行います。
Webデザイナーとの違い
また、Web デザイナーもしばしば混同されますが、Web に関わるだけで役割は大きく違います。Web デザイナーは文字通り Web コンテンツに関わるデザインを行う仕事で、Webディレクターから指示を受ける側となります。
Webディレクターに必要なスキル・経験

Web コンテンツ開発経験
まず何らかの Web コンテンツを開発した経験が必要となるでしょう。経験がないと指示を受ける側のことが理解できず、チームメンバーへディレクション(指示)を出すことは困難です。大企業の場合は新入社員から OJT の形で Web ディレクターとしてのキャリアをスタートするケースがあるかもしれません。
アジャイル開発スキル
Web の世界は動きが早いため、従来のウォーターフォール開発ではついていくことが困難です。アジャイル開発と呼ばれる開発手法について学んでおきましょう。
アジャイル(Agile) は「素早い、機敏な」という意味があります。
ウォーターフォール開発はシステム全体で開発工程を進めるため不具合が発生した場合の手戻りで苦労しますが、アジャイル開発は一般的に機能単位など小さな単位で開発工程を進めるため手戻りも小さくなります。
従来のウォーターフォール開発に慣れていると戸惑いが大きいと思いますので、アジャイル開発の基本的な考え方を抑えておきましょう。
コミュニケーションスキル
Webディレクターはクライアントや Webプロデューサーからの要望を理解したり、開発チームに具体的な指示を伝える必要があります。
システム開発現場でのコミュニケーションは正確性が求められますので、言葉や文書を用いたコミュニケーションスキルが必要となります。
コミュニケーションには Slack などのチャットツール、Zoom などのオンライン会議ツール、Trello などのタスク管理ツールを使いこなせると有利です。
個人でしたら無料で使えますので、一通り試しておくことをお勧めいたします。
マーケティングスキル
クライアントや Webプロデューサーの意向を汲んでおくと現場での判断や指示がやりやすくなります。Web コンテンツは最終的に販売やマーケティングなどを目的としてます。
よってどのような Web マーケティングが有効なのか、などを理解しておくと確認が不要となり判断が早くなることがあります。
Webディレクターに向いている人は?

割り切って判断ができる人
Webディレクター は正直に言って大変な仕事です。
システム開発は計画通りに進まないことが日常で、いろんな想定外のトラブルや割り込みイベントが発生します。
その度に Webディレクター はいろんな判断を下すわけですが、すべてを優先することはできませんので割り切って合理的な判断を下せる方が向いていると言えるでしょう。
優先順位がなかなかつけられない人、共感力が高く断るのが苦手な人は苦労するかもしれません。
フリーランスのWebディレクターを目指す人が取り組んでおくべきこと

Webディレクターは独習が難しい
Webディレクターはチーム開発の中の役割なので、プログラマやデザイナーなどと違い独習が難しくなります。例えばアジャイル開発のスクラムを学ぼうと思っても、本を読んで概念的なことは理解できても実践しない限り体得するのは難しいでしょう。
Webディレクターを目指す方はすでに何らかのシステム開発に携わってる方と思いますので、現在の仕事で自分が Webディレクターならどう振る舞うか、分からなければ調べて実践してみるなどの事前練習をお勧めします。
Webディレクターのキャリアパスを考えておく
Webディレクターは中間管理職といえるキャリアかと思います。できれば将来のキャリアデザインも考えておきましょう。
Webディレクターの次のキャリアとしては、まず Webプロデューサーやプロジェクトマネージャーが考えられます。Webディレクター に指示を出す上位職となります。ただ筆者の経験から、Webプロデューサーやプロジェクトマネージャーは正社員が担っておりフリーランスからの採用は少ない印象です。会社によっては正社員が「責任者」という括りで業務を行っているため募集もしていないのが実態ではないかとも予想されます。
よって垂直方向ではなく、水平方向にスキルを広げてマーケティングや経営の知識を身に着け、ゆくゆくはコンサルタント案件を個別受注するなど考えていいかもしれません。
年齢や得意分野、お住いの地域などによって変わるため、よく調べて考えてみましょう。
おわりに
Web ディレクターの仕事内容や必要なスキル、将来のキャリアパスについて解説しました。
Webディレクターを経験すると一人で仕事を計画して進める事ができるようになるため、案件の個別受注など仕事に広がりが見えてきます。
具体的な仕事内容がイメージしづらい職種かもしれませんが、興味があればプログラミングスクールの講座を受けるなど行動してみてはいかがでしょうか。
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